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読書感想文「コインロッカー・ベイビーズ(村上龍)」

いやぁ〜、ダチュラダチュラ村上龍コインロッカー・ベイビーズ読みました。 あらすじとしては、赤ん坊のときにコインロッカーに捨てられた二人の少年達の生き様を書いた物語です。 村上龍は初めて読みましたが、生卵ぶちまけたような世界観がすごかったです。

ネットリ・ジクジクとした世界観

話の主軸となる二人の主人公ハシとキク二人は過去のトラウマから屈折したような考えを持っているんですが、名もなき登場人物の狂いっぷりがヤバイ。主要人物をとっ捕まえて蛙の卵を突っ込むだのホームレスに咥えさせただの生々しい話を聞いてもないのに数ページに渡って一人で喋り続けます。この空気感がなんともきつくて、苦手な人は多そう。 正直「早く終わんねぇかな」と思いながら読んでいたけども、今思うと、この抜け出したくなるような閉塞感やネットリした熱帯感は子宮+コインロッカー的なワールド世界を感じられる。

人は救いに包まれているのか、救いを内包しているのか

ハシとキクは過去の経験と出来事をきっかけに謎の「心音」が聞こえるようになります。ここでいう「心音」は誰のものなのでしょうか。自分の心音か?それとも母親の心音か? 強烈に頭からこびりついて離れない心音の答えを求めて二人は模索するのですが、ここで探す道が違えることで、生き方にも隔たりが生じてきます。 外に答えを探した少年と自分の中に答えを探した少年。それぞれはどんな道を辿り、どんな答えを探すのか。

まとめ

かなり重厚感のある物語ですが一気読みするのがオススメです。サウナで我慢して汗をダラダラ流してようやく出たときに口にするキンッキンに冷えた水のような爽快感を味わってください。 村上龍は初めて読んだけど、一つの話の世界観が巨大に感じられて凄い。カフカの「城」的なシステム世界を感じる。ただまた読むかっていうと辛い。刺激が欲しくなったときにまた読もう。